自己紹介<ソーシャルワーカー~地域包括支援C編①>
- こころ ふくし
- 5月14日
- 読了時間: 6分
更新日:5月17日
「地域包括支援センター」は、
法的には「老人福祉法」に規定されており、運営主体は行政(市役所・区役所)で、直接運営していることもありますが、ほとんどは社会福祉法人等の民間に“委託”しています。
運営費用を役所が(少し多めに)出す。
行政が言うことをやらせる。
役所が「金は出すけど、口も出す」ってカンジ(笑)。
多くの民間法人が、受けたがります。
少し多めの運営資金をもらえるから。
一応、年度ごとに報告・清算はするけど・・・・・・。
そんな「地域包括支援センター」の社会福祉士職を、
足かけ10年以上務めた中の、ぼくがいまでも
大切にしているAさんの話。
Aさんは、めちゃ頑固な高齢男性。
「要介護認定」から「要支援認定」に更新認定で変更になり、
ケアマネジャーが地域包括支援センターに変更になった。
これから担当させていただきます、と挨拶に行くと、
「俺が認めなきゃ担当になんてさせねえ」
が第一声でした(^_^;)

Aさんは、生活保護を受けていらっしゃいました。
肺疾患があり、定期的に受診し、医者言われた呼吸混練を自宅で真面目に
取り組んでいました。
県外に息子さんがお住まいだと聞いていました。
スーパー等で安くなっている物があると
必要ない物でも買ってきてしまうクセがあって、
やや買い物依存っぽいところも。
よく、
「安かったから、買いすぎたから、北川さん もらってくれ」と、
数十本の大量のS&Bわさびチューブを
渡されたり
(どう考えても わさびチューブ 50本とか
いらないでしょ(^_^;))、
「サイズが合わなかったから、もらって」と
防寒コートを渡されたり
(試着してから買えよ!(^_^;))
(いただく訳にはいかないので、体よく なだめたりして
お断りしましたが)
一度、断り切れずにもらってしまったこともあります。
それは、「スポーツバッグ」でした。
肩掛けストラップ付いてるやつ。
こんなバッグを持って
杖ついて外出しないでしょ、Aさん・・・・・・。
はじめこそ とっつきにくそうな頑固じじいだったけど、
回数を重ねて信頼関係が築けると、
とても生真面目で、
潔癖症でキレイ好き
リモコンとか自分の法則通りに
並べておかないと気が済まない
おじいさまでした。
===
ある年の年末、様子伺い(モニタリング)に訪問すると、
「この前医者から、年末年始は入院を勧められた。でも、嫌だって断った。
新年を病院で迎えなきゃいけないんんで、やなこった」
と仰るAさん。
「お医者さんんがそう言うなら、入院した方が良かったんじゃないですか?
今からでも、もう一度受診して病院にお願いしましょうか?」
体の具合は大丈夫なのか?医者も入院を勧めるからには理由があるはずだし・・・・・・
でも、本人にその気はなさとうだし、断っちゃったなら仕方ない。
明日はもう12月29日だ。
「年明けに来るから、転んだりしないように気をつけてくださいね」
と話して、年末の訪問を終えた。
===
新年1月4日。
Aさんに「これから行きますが、いいですか?」と伝えようと
電話するも、出ない。
とりあえず自宅アパートへ行く。
玄関前でもう一度電話した。
出ない。
呼び鈴を押すも、反応なし。
玄関ドア前で耳をそばだてて携帯で呼ぶと、自宅内で携帯がなっているのが聞こえる。
10回、20回・・・とコールしても、つながらない。
「Aさーん!北川です-」と呼びかけても、反応なし。

こりゃーなんかあったな。
自分の中で、
「緊急対応」モードに切り替え。
地域包括支援センターは(あるいは在宅介護サービスを担う
ケアマネジャー・ヘルパー・・・・・・の皆さんも)
こういう事態はあり得ます。
特に地域包括支援センターは、緊急対応・判断をすることが責任としてある「(委託された)行政機関」なので。
(ヘルパーから連絡を受けて、要介護認定のサービスを受けていて
地域包括支援センターとして 会ったこともない方のところに
緊急訪問することもあります。
俗に言う“困難ケース”(関わりが難しいケース)
を請け負うこと・支援することも役割の一つです。)
まず、自分が所属するセンターの上司に連絡・共有。
その上で、委託元である行政(「高齢者支援課」など担当部署」に連絡。
行政の指示を仰ぐ・・・というか、行政職員は現場の判断はできないので
(「現場にお任せします」と尤もらしい言い方で、考えもしてくれない行政マンも多い)
「Aさんが、○○という状況です。
△△しようと思いますが、いいですか?」って感じ。
一応、こちらは委託されている側で責任は行政(役所)にあるので、了解いただいた上で動く必要があるのです。
逆の見方では、「報せておく・役所を巻き込んでおく」
という感じ。
状況によるけど、ぼくは2~3くらいの
「仮説と対応案」を頭の中で想定して、
行政担当者に相談・確認する。
(20年くらい前だったか、ホリエモンが
「想定内です」
という言葉が流行語大賞ノミネート?だったか
流行ったことがあったけど、
多くの「想定内」を作って臨んでいました。
仕事って、みんなそうだと思うけど。
その時は、他県に住む息子に電話して、
状況を伝え、本人宅の鍵を持っているかを確認して、
できることなら至急来ていただく。
もし、鍵を持っていないなら、警察に連絡して、一緒に立ち入る(踏み込む)。
とは言っても窓を割って侵入 なんてドラマチックなことは基本的にしませんが、
・・・・・・仮に窓を割るしかないとしても、それも家族の同意を得た上で。
幸い、息子さんが鍵を持っていたので、
早急に来ていただくことに。
==
息子さんの到着は夜19時すぎだった。
一旦 事務所に戻ってから上司と一緒に出直し、
息子さんが鍵を開けて、
1.息子さん
2.包括センター職員(ぼく・上司)
の順番で
玄関から入った。
(この時に入る順番が重要なのです。
万一亡くなっていた場合を想定して、
「第一発見者」が警察の事情聴取を受ける
ことになるので、先にご家族から入っていただく。)
「ああ・・・・・・」
先に、息子さんの声が聞こえた。
悪い予感は的中した。
Aさんは、下半身裸の、ズボンと紙パンツを足首あたりまで
下ろしている状態で、倒れていた。
表情は「苦悶(くもん)」に歪んでいた。
「いって~!」 と言っているような顔。
Aさんは、下半身裸の、ズボンと紙パンツを足首あたりまで
下ろしている状態で、倒れていた。
表情は「苦悶(くもん)」に歪んでいた。
左頬が陥没していた。
脈はなかった。
おそらく、ポータブルトイレに座ろうとして
ズボン・パンツを下ろして、よろめいて転倒し
どこかに左頬を強打したのだろうか。

後になってからわかった死因は「心不全」だった。
転倒した衝撃で心不全を起こしたのか
心不全を起こして倒れたのか
どちらが先だったのかはわからない。
「Aさん・・・・・・
だから、入院した方がいいって言ったのに・・・・・・」
Aさんの手を握って、言っても、返事は返ってこない。
===
後日、ソーシャルワーカーの友人に聴いてもらうと、
友人は言った。
「きっと、年末年始を自宅で過ごせて、本望だったと思うよ」
そうかもしれない。
でも、そんなの、自分を慰めるだけの都合のいい考えだ。
ぼくがあのとき、もっと強く入院を勧めていれば、
引っ張ってでも入院させていれば、
結果は違っていたかもしれない。
もう、15年くらい前の話。
ぼくのなかで、
いつまでも拭えない
忘れたくない
忘れてはいけない
経験の一つです。

お読みくださり、ありがとうございました。



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